nptのドキュメントです。
参照元:ANSI Common Lisp npt
次へ:hold変数の使い方
nptはC言語に組み込むことを目的として開発しています。
本章の目的は、nptをモジュールという位置づけにして どのように開発していくのかを示し、 簡単なサンプルを作成して実行することです。
★注意:nptのモジュール用関数はまだ開発中なので変更される可能性があります。
開発で必ず必要になるのがamalgamationのソースです (npt amalgamationの詳細はこちら npt amalgamation)。
特にヘッダーファイルであるlisp.h
が必要となります。
まずはnptのソースからamalgamationを作成する手順を説明します。
$ cd github/npt
$ cd develop/amalgamation/
$ npt --script amalgamation-single.lisp
amalgamation-single.lisp
はCommon Lispであればなんでも動作します。
nptコマンドがない時は代わりに下記のどれかを実行してください。
$ sbcl --script amalgamation-single.lisp
$ ccl -l amalgamation-single.lisp
$ clisp amalgamation-single.lisp
作成されるファイルは下記のとおりです。
lisp.c
lisp.h
shell.c
amalgamationのページではamalgamation-header.lisp
の使い方も説明していますが、 どちらを用いても構いません。
lisp.h
は同じものが生成されます。
大きく3つ存在します。
lisp.a
ファイルを作成するどの方法でも、amalgamationが生成したヘッダーファイルlisp.h
は必要となります。
1つ目のamalgamationを利用するというのは、 amalgamation-single.lisp
が生成したファイルlisp.c
を利用する方法です。
この方法が楽なのですが、lisp.c
ファイルが大きすぎるため C言語のデバッガーが起動すると動作が非常に遅くなるという欠点があります。
もしファイル容量が気になるのであれば、 amalgamation-header.lisp
を用いることもできます。
ファイル数は多少増えるものの個々のファイルの容量を 抑えることができるため、使いやすい方法になります。
2つ目のnptのソースをそのまま利用するというのは、 その名の通り、src/*.c
ファイル一式をコピーするというものです。
nptのmain.c
さえコンパイルしなければ実現できます。
欠点は、nptがバージョンアップしたときに、 nptのソースを更新する必要があるということです。
nptのファイルが増えるだけなら良いのですが、 減ることもあるため、管理が複雑になります。
3つ目のlisp.a
ファイルというのは、 nptのオブジェクトファイルである*.o
を開発用にまとめたものです。
この方法は便利なので説明するときに利用します。
以上3つの方法について、簡単にコンパイルする手順を説明します。
今回実行する例文は下記の通りです。
int main_lisp(void *ignore)
{
(NULL, "Hello~%", NULL);
lisp_format8_return 0;
}
この文は、Common Lispで表すと下記の文と同じです。
format t "Hello~%") (
実際にコンパイルするにはこれだけではなく、 nptを初期化するコードも記載しなければなりません。
下記に完全なコードを示しますので、 main.c
という名前で保存してください。
/* main.c */
#include <stdio.h>
#include "lisp.h"
int main_lisp(void *ignore)
{
(NULL, "Hello~%", NULL);
lisp_format8_return 0;
}
static int main_argv(struct lispargv *args)
{
/* mode */
if (args->mode_help)
return lisp_main_help(stdout);
if (args->mode_version)
return lisp_main_version(args, stdout);
if (args->mode_degrade)
return lisp_main_degrade(args);
/* execute */
->call = main_lisp;
args(args);
lisp_argv_init(args);
lisp_argv_run
return lisp_code? 1: lisp_result;
}
int main(int argc, char *argv[], char *env[])
{
int result;
struct lispargv *args;
/* initialize */
();
lisp_init= lispargv_main(argc, argv, env);
args if (args == NULL) {
(stderr, "argv error\n");
fprintfreturn 1;
}
/* main_argv */
->mode_core = 0;
args->mode_degrade = 0;
args->mode_standalone = 1;
args->nocore = 1;
args->noinit = 1;
args->debugger = 1;
args->debuggerp = 0;
args->quit = 1;
args= main_argv(args);
result
/* free */
(args);
lispargv_free();
lisp_free
return result;
}
まずはamalgamation-singleだけを利用する方法を説明します。
作成したmain.c
と同じディレクトリに amalgamationが出力した下記のファイルを配置してください。
lisp.c
lisp.h
shell.c
は不要です。
次にコンパイルを行います。
コンパイルの方法は環境によって変わりますので、 コンパイルの詳細のページを参考にしてください。
例文ではFreeBSDで実行する手順を示します。
$ cc lisp.c main.c -lm
$ ./a.out
Hello
$
amalgamation-headerを利用する方法を説明します。
コンパイルの方法はsingleの場合とほぼ同じですが、 ソースファイルが1つだけではないので、 lisp_file_*.c
のように一括指定します。
$ cc lisp_file_*.c main.c -lm
$ ./a.out
Hello
$
作業用のディレクトリを作成してください。
$ mkdir $HOME/libnpt1
main.c
とlisp.h
をコピーします。
$ cp -i main.c lisp.h $HOME/libnpt1/
次に、githubのnptのソースをコピーします。
まずはnptのディレクトリに移動します。
$ cd github/npt
ソースをコピーします。
$ cp -i src/*.[ch] $HOME/libnpt1/
overwrite .../main.c? (y/n [n]) n ★nを入力して上書きしない
not overwritten
$
コンパイルを行います。
$ cd $HOME/libnpt1
$ cc *.c -lm
$ ./a.out
Hello
$
lisp.a
ファイルを作成する作業用ディレクトリを作成してください。
$ mkdir $HOME/libnpt2
main.c
とlisp.h
をコピーします。
$ cp -i main.c lisp.h $HOME/libnpt2/
githubのnpt上で、lisp.a
ファイルを作成します。
まずは移動します。
$ cd github/npt
コンパイルをしてオブジェクトファイルを生成します。
例えばfreebsd_debug.sh
などスクリプトを実行しても良いのですが、 その際はコンパイルオプションを覚えておくようにしてください。
今回は手動でコンパイルします。
$ cc -c src/*.c
lisp.a
ファイルを作成します。
$ ar -rc lisp.a *.o
$ ar -d lisp.a main.o
lisp.a
が生成されましたのでコピーします。
$ cp -i lisp.a $HOME/libnpt2/
コンパイルします。
$ cd $HOME/libnpt2/
$ cc main.c lisp.a -lm
$ ./a.out
Hello
$
main_lisp
の説明今回の例文ではformat
を実行するだけなので単純でしたが、 本来はCommon Lispと同等の文をC言語で表す必要があるため、 開発は非常に複雑でわかりづらいものとなります。
次章で詳しく見て行きます。