Declaration TYPE

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Declaration TYPE

Declaration TYPE

構文

(type typespec var*)
(typespec var*)

引数

typespec - 型指定子
var - 変数名

有効な文脈

declareproclaim

影響する束縛の型

変数

定義

変数の束縛にのみ影響し、 varがただ指定したtypespecの値のみ受け取ることを宣言します。 とくにsetqによって値を変数に代入するときは、 varの初期値が指定したtypespecになるようにするのと 同様の効果があります。 type宣言は関数束縛には適用しません (ftypeをご確認ください)。

symbol-macroletによって定義されたシンボルの型宣言は、 the式でそのシンボルの展開の周りを囲むことと同等です。 しかし実際のシンボルの展開結果には影響を与えません。

型宣言の意味は、宣言のスコープ内にある 各変数varの参照を(the typespec var)に変更すること、 またスコープ内の各変数へ代入される値new-value(the typespec new-value)に変更すること、 そして宣言のスコープに入った時点で (the typespec var)を実行すること、 という意味と同じです。

型宣言は、全ての宣言で有効です。 型宣言の解釈については下記をご確認ください。

  1. 宣言スコープ内で宣言された変数の参照が実行されたとき、 その変数の値が指定した型と一致してないときの結果は未定義です。

  2. 宣言スコープ内で宣言された変数がsetqを実行したとき、 その変数へ代入される新しい値が指定した型と 一致していないときの結果は未定義です。

  3. 宣言スコープに入った時点で、宣言された変数の値が 指定した型と一致していないときの結果は未定義です。

  4. 型宣言は、ただスコープ内の変数の参照のみに影響します。

もし同じ変数に型宣言がネストされていたときは、 変数の値は宣言された複数の型の 共通部分の型でなければなりません。

もしローカル宣言でtypeが動的変数に対して行われており、 同じ変数のグローバルなproclamationもまた存在しているときは、 ローカル宣言のスコープ内の変数の値は、 宣言された2つの型の共通部分の型でなければなりません。

type宣言は、自由宣言と境界宣言のどちらでも行えます。

シンボルは型の名前と宣言の名前を両方同時にはなれません。 あるシンボルがクラスか、構造体か、コンディションか、あるいは型の名前であり、 そのシンボルが宣言の名前として宣言されたときか、 あるいはその反対であったときはエラーが発生します。

arrayの型宣言があるレキシカルスコープ内では、 配列の要素への参照全ては表現された配列の要素の型を満たします (アップグレードされた配列の要素の型とは対称的に)。 コンパイラーはarrayの型宣言があるスコープ内では 各配列の要素へのアクセスをtheフォームを適用したかのように 囲まれたコードとして扱うことができます。

例文

(defun f (x y)
  (declare (type fixnum x y))
  (let ((z (+ x y)))
    (declare (type fixnum z))
    z)) =>  F
(f 1 2) =>  3
;; 前の定義Fは次の定義と同等です。
(defun f (x y)
  ;; この宣言はTYPE宣言の短縮フォームです。
  (declare (fixnum x y))
  ;; 返却値の型を宣言するときは名前付き変数を作成する必要はありません。
  ;; かわりにTHE特殊フォームを使用できます。
  (the fixnum (+ x y))) =>  F
(f 1 2) =>  3
(defvar *one-array* (make-array 10 :element-type '(signed-byte 5)))
(defvar *another-array* (make-array 10 :element-type '(signed-byte 8)))
 
(defun frob (an-array)
  (declare (type (array (signed-byte 5) 1) an-array))
  (setf (aref an-array 1) 31)
  (setf (aref an-array 2) 127)
  (setf (aref an-array 3) (* 2 (aref an-array 3)))
  (let ((foo 0))
    (declare (type (signed-byte 5) foo))
    (setf foo (aref an-array 0))))
 
(frob *one-array*)
(frob *another-array*)

上記のfrobの定義は下記と同等です。

(defun frob (an-array)
  (setf (the (signed-byte 5) (aref an-array 1)) 31)
  (setf (the (signed-byte 5) (aref an-array 2)) 127)
  (setf (the (signed-byte 5) (aref an-array 3))
        (* 2 (the (signed-byte 5) (aref an-array 3))))
  (let ((foo 0))
    (declare (type (signed-byte 5) foo))
    (setf foo (the (signed-byte 5) (aref an-array 0)))))

ある実装では、fixnumが29-bitであり しかしfixnumの配列が符号付き32-bitへ格上げされるものであるとき、 下記の例は全てfixnumで計算されるようにコンパイルされます。

(defun bump-counters (counters)
  (declare (type (array fixnum *) bump-counters))
  (dotimes (i (length counters))
    (incf (aref counters i))))

参考

declare, declaim, proclaim

備考

(typespec var*)は、(type typespec var*)の省略形です。

関数の引数のtype宣言は、 結果の型について暗に何かを意味しているわけではありません。 下記の関数は、コンパイルされる際に 実装依存のfixnumのみでの演算を 許可してはいません。

(defun f (x y) (declare (fixnum x y)) (+ x y))

なぜかというと、(f most-positive-fixnum 1)を考えてみます。 Common LispはFの結果を、 数学的に正しくない返却としてエラーを発生させるのではなく、 ここではbignumが返却するように定義します。 もしfixnumのオーバーフローが生じないような特別な知識があるならば、 返却値がfixnumの範囲であることを宣言することで、 一部のコンパイラがより効率的な演算を行うようにすることができます。 例えば下記の通り。

(defun f (x y)
  (declare (fixnum x y))
  (the fixnum (+ x y)))

しかし、注意点として3つの引数の場合は、 暗黙的な中間値が非常に大きくなる可能性があるため、 下記の例文は実装依存のfixnumのみの演算は 実行されないかもしれません。

(defun f (x y)
  (declare (fixnum x y z))
  (the fixnum (+ x y z)))

なぜなら、(f most-positive-fixnum 1 -1)を考えてみましょう。 引数とその結果は全てfixnumですが、中間の値はfixnumではありません。 もし、その実装が提供する実装依存の fixnumのみの演算が重要なのであれば、 かわりに次のような記載を考えてみて下さい。

(defun f (x y)
  (declare (fixnum x y z))
  (the fixnum (+ (the fixnum (+ x y)) z)))

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